正解:(a)(4)、(b)(4)
解説
(a):クーロンの法則①の通り、真空中において、2つの点電荷Q₁[C]とQ₂[C]が距離r[m]離れている時、点電荷間に働く力は、
$F=k\frac{Q_1Q_2}{r^2}$(k:比例定数)
と表現でき、また、比例定数kは
$k=\frac{1}{4πε_0}=9.0×10^9$
であるので、(4)が正解と即答出来るが、設問の通り、与条件で与えられたF=6×10-5 Nと$Q_A$=+2×10-8 C、$Q_B$=+3×10-8 C 、r=0.3 m をそれぞれ代入して、比例定数kを求めていく。
6×10-5=k×$\frac{2×10^{-8}×3×10^{-8}}{0.3^2}$
6×10-5=k×$\frac{6×10^{-14}}{9}$
k=9×109
したがって、計算の結果上でも(4)であることが確認できた。
(b):導体球A,Bと大きさが等しく電荷を持たない導体球Cを、導体球AやBと接触させると、接触した2つの導体球が等電位になる様に、つまり2つの導体球の電荷が等しくなるように電荷が導体球間を移動する。
まず、CをAに接触させると、もともとAに蓄えられていた、+2×10-8 Cが均等に分配されるので、AもCも+1×10-8 Cとなる。
次に+1×10-8 Cの電荷が蓄えられたCを+3×10-8 C蓄えられたBに接触されると、合計が均等に分配されるので、BもCも+2×10-8 Cとなる。
この電荷の状態で、導体球C を導体球A と導体球B の間の直線上に置くとき,導体球Cが受ける力が釣り合う位置を導体球A との中心間距離r[m]とするとき、BとCとの中心間距離は0.3-r[m]である。
ここで、クーロンの法則により、AC間とBC間に働く力の大きさはそれぞれ、
$F_{AC}=k\frac{1×10^{-8}×1×10^{-8}}{r^2}=k\frac{1×10^{-16}}{r^2}$
$F_{BC}=k\frac{2×10^{-8}×1×10^{-8}}{(0.3-r)^2}=k\frac{2×10^{-16}}{(0.3-r)^2}$
であり、$F_{AC}=F_{BC}$であるとき、導体球Cが受ける力が釣り合うので、
$k\frac{1×10^{-16}}{r^2}=k\frac{2×10^{-16}}{(0.3-r)^2}$
(0.3-r)²=2r²
r²-0.6r+0.09=2r²
r²+0.6r-0.09=0
解の公式より、(参考:解の公式①)
$r=\frac{-0.6±\sqrt{0.6^2-4×1×(-0.09)}}{2}$
$r=\frac{-0.6±\sqrt{0.36+0.36}}{2}$
$r=\frac{-0.6±\sqrt{0.72}}{2}$
$r≒\frac{-0.6±0.85}{2}≒-0.725,0.125$
導体球CはAとBの間なので、
0<r<0.3であり、
正解はr=0.125
したがって、最も近いのは(4)0.124である。
ちなみに、r=-0.725(導体球Aよりも左に0.725[m]に導体球Cがある)の時は、AC間とBC間の力の大きさは等しくなるが、どちらからも反発力で左向きの力となるので、導体球Cへの合力も左向きとなり、力が釣り合うわけではない。
<別解>
$F=k\frac{Q_1Q_2}{r^2}$(k:比例定数)
のうち、分子だけを比較すると、AC間よりもBC間の方が2倍大きいので、分母もAC間よりもBC間の方が2倍大きければ、力が釣り合うことになる。分母は距離の2乗なので、距離にすると、AC間よりもBC間の方が$\sqrt{2}$倍だけ大きければ良い。つまり、図のようにaとbを取ると、a:b=1:$\sqrt{2}$であればよい。
したがって、a=r[m]とすると、b=$\sqrt{2}$r[m]であり、この合計r+$\sqrt{2}$r=0.3[m]であるので、
$r=\frac{0.3}{1+\sqrt{2}}≒\frac{0.3}{2.414}≒0.1243$
したがって、最も近いのは(4)0.124である。