RL平衡三相負荷(過去問にチャレンジ)解答

正解:(a)(4)、(b)(4)

解説

(a):前提として、左右のY結線負荷とΔ結線負荷は電源電圧に対して並列接続されているので、それぞれには同じく線間200Vの三相交流が印加されている。

まず左のY結線側のI₁から求める。1相あたり負荷は6Ωの抵抗と8Ωのリアクタンスで構成されており、合成したインピーダンスの大きさは$\sqrt{6^2+8^2}$=10[Ω]である。また、1相あたりに印加される電圧は、Δ-Δ回路①の通り線間電圧より$\frac{1}{\sqrt{3}}$倍だけ小さい相電圧であるので、相電圧=$\frac{1}{\sqrt{3}}$×200[V]である。

したがって、I₁=$\frac{1}{\sqrt{3}}$×200÷10=$\frac{20}{\sqrt{3}}$[A]・・・①

次に、右のΔ結線側のI₂を求める。Δ-Δ回路②の通り、各負荷に対して、線間電圧が印加されるので、電流の大きさはI₂=$\frac{200}{r}$[A]・・・②

設問の与条件より、I₁=I₂であるので、①=②が成りたち、

$\frac{20}{\sqrt{3}}$=$\frac{200}{r}$

r=10$\sqrt{3}$≒17.32[A]

よって、最も近いのは(4)17.3である。

(b):有効電力,無効電力,皮相電力③の通り、消費電力、つまり有効電力はP=$\sqrt{3}$VIcosθ(V:線間電圧、I:線電流、cosθ:力率)の関係が成り立つので、Y結線側での消費電力とΔ結線側での消費電力をそれぞれ算出してから合計を計算する。

まず、左のY結線では、線電流が先程(a)で算出したI₁=$\frac{20}{\sqrt{3}}$[A]であり、線間電圧は与条件の通り200[V]、力率はcosθ=$\frac{6}{\sqrt{6^2+8^2}}=\frac{6}{10}=0.6$であるので、

P=$\sqrt{3}$VIcosθ=$\sqrt{3}$×200×$\frac{20}{\sqrt{3}}$×0.6=2400[W]=2.4[kW]

次に、右のΔ結線では線間電流がI₂=$\frac{20}{\sqrt{3}}$[A]であったので、線電流を求める必要がある。Δ-Δ回路②の通り、電流の大きさだけ整理すると、線電流=$\sqrt{3}$×線間電流の関係があるので、線電流=$\sqrt{3}$×$\frac{20}{\sqrt{3}}$=20[A]である。線間電圧は与条件の通り200[V]、力率は抵抗成分だけでリアクタンス成分が無いので、cosθ=1であるので、

P=$\sqrt{3}$VIcosθ=$\sqrt{3}$×200×20=4000$\sqrt{3}$≒6928[W]=6.928[kW]

したがって、合計の消費電力は2.4+6.928=9.328[kW]

よって、最も近いのは(4)9.3である。

Δ回路でもY回路でもP=$\sqrt{3}$VIcosθの公式を使う時にはV:線間電圧、I:線電流であることを間違えないように注意したい。Y結線の時にはVに誤って相電圧を代入したり、Δ結線の時にはIに誤って線間電流を代入したりすることで、計算を誤り、他の選択肢を選んでしまう場合が多い。

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