原子力発電所では、安全を確保するために、レベル1:異常の発生防止、レベル2:異常の拡大防止、レベル3:事故時の影響緩和、の3つのレベル(多重防護)に分けた安全設計がされている。このうち、レベル1:異常の発生防止では、原子炉自身での自己制御性と、安全装置・機器への信頼度向上に分けて設計し、自己制御性では、以下のような効果により異常の自己制御を行う。
・(ア)効果:燃料の大部分を占める(イ)は、ある特定の範囲のエネルギーをもつ中性子に対して強力な吸収作用を示すが、温度が上昇すると、このエネルギー範囲が拡大し、より多くの中性子に対して強力な吸収作用を示し、中性子がどんどん吸収されていくことで、それ以上、核分裂反応していくことを抑制し、出力を下げる。
・(ウ)効果:沸騰水型の原子炉で核分裂が過剰になり、温度上昇すると、沸騰により蒸気泡(ウ)が発生すると、中性子に対する減速効果が低下し、これにより核分裂反応していくことを抑制し、出力を下げる。
・(エ)効果:原子炉で核分裂が過剰になり、温度上昇すると、(オ)の密度が下がり、減速効果が悪くなるので、これにより核分裂反応していくことを抑制し、出力を下げる。
上記の記述中の空白箇所(ア)、(イ)、(ウ)、(エ)、(オ)に当てはまる組合せとして、最も適切なものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。
ア | イ | ウ | エ | オ | |
(1) | ドップラー | $^{235}U$ | ボイド | 正の温度 | 中性子 |
(2) | ボイド | $^{235}U$ | ドップラー | 負の温度 | 中性子 |
(3) | ドップラー | $^{238}U$ | ボイド | 負の温度 | 減速材 |
(4) | ボイド | $^{238}U$ | ドップラー | 正の温度 | 中性子 |
(5) | ドップラー | $^{238}U$ | ボイド | 正の温度 | 減速材 |