トランジスタを用いた直流・交流回路(過去問にチャレンジ)解答

正解:(a)(4)、(b)(4)

解説

(a):ベース端子を切り離し、さらにvi(t)=0 Vとすると、回路図は下図のように簡略化できる。

したがって、14kΩと2kΩの直列回路に直流電圧12Vが印加されているので、2kΩに印加される電圧はVB=214+2×12=18×12=1.5[V]である。

次に、コンデンサのインピーダンスが2kΩに比べて十分に小さい時には、下のベクトル図のように、合成インピーダンス≒2kΩであるので、コンデンサのインピーダンスを無視して考えることができ、

また、直流電圧源も0Vと考えるので、下図のように簡略化できる。

したがって、2kΩにはvi(t)=100sinωt[mV]がそのまま印加される。

したがって、vB(t)=VB+ABsin(ωt+θB)とすると、VB=1.5[V],AB=100[mV],θB=0である。

(b):まずは、交流信号vi(t)の入力が無い時の、直流電圧VCを求める。

(a)で求めた通り、VB=1.5[V]であり、設問の与条件の通り、VBE=0.7[V]であるので、抵抗0.8kΩに印加される電圧は1.5-0.7=0.8[V]となる。0.8kΩの抵抗に0.8[V]の電圧が印加されているので、流れる電流はIE0.80.8×103=1.0×103[A]=1.0[mA]である。トランジスタのベース端子に流れる電流が十分小さいので、コレクタ電流IC≒エミッタ電流IEと近似でき、IC=1.0[mA]である。このコレクタ電流が、抵抗5kΩに流れた時の電圧降下はVD=5×10³×1.0×10-3=5.0[V]である。

図の通り、直流電圧VCVDの和が直流電圧源の電圧と等しいので、

VCVD=12

VC=12-VD=12-5=7[V]である。

次に、交流成分だけ考える。交流信号vi(t)=100sinωt[mV]=0.1sinωt[V]が入力された時には、(a)で求めた通り、コンデンサ成分は無視できるので、vB(t)vi(t)と同じ振幅・位相・周期で変化する。VBEは0.7[V]で一定であるので、0.8kΩに印加される電圧もvB(t)つまりvi(t)と同じ量だけ、変化する。このとき、0.8kΩに流れるエミッタ電流の変化量は、vi(t)0.8×103=0.1sinωt0.8×103[A]であり、先程同様に、コレクタ電流IC≒エミッタ電流IEと近似できるので、抵抗5kΩによる電圧降下の変化量は5×10³×0.1sinωt0.8×103=0.5sinωt0.8=0.625sinωt[V]である。VC=12-VDであるので、VDが0.625sinωt[V]変化すると、VCは-VD、つまり-0.625sinωt[V]だけ変化する。sin(ωt+π)=sinωtであるので、0.625sinωt[V]=0.625sin(ωt+π)[V]

したがって、vC(t)=7+0.625sin(ωt+π)であるので、

最も近いのは、VC=7、AC=0.6、θC=πの(4)である。

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