単相3線式低圧電線路の計算①(過去問にチャレンジ)解答

正解:(a):(3)、(b):(4)

解説

(a):まず、線路における損失は、線路抵抗によるジュール熱RI²であり、配電線路及び中性線の抵抗値はそれぞれ0.06[Ω]と与えられているので、残りは、各配電線路及び中性線に流れる電流値を求めればよい。

上図の様に、上半分の閉回路を$I_a$が時計回りに、下半分の閉回路を$I_b$が時計回りに流れるとすると、中性線には$I_b-I_a$の電流が時計回りに流れる。

次に変圧器について考える。変圧器では1次側の電圧と電流をそれぞれV₁,I₁とし、2次側の電圧と電流をそれぞれV₂,I₂とすると、

V₁:V₂=I₂:I₁

の関係が成り立ち、式変形すると、

V₁・I₁=V₂・I₂

である。これは、電圧と電流の積は1次側と2次側で変わらないことを意味する。

1次側では与条件でV=6,600[V]、I=5[A]が与えられているので、

V・I=6600×5=33,000・・・①

2次側では先ほどの図の通り、上半分は$I_a$、下半分は$I_b$の電流が流れており、電圧はそれぞれ110Vであるので、

V・I=110$I_a$+110$I_b$・・・②

①=②であるので、

110($I_a$+$I_b$)=33,000

$I_a$+$I_b$=300・・・③

また、もう一つの与条件で$I_a$:$I_b$=2:3があったので、

2$I_b$=3$I_a$

$I_b$=1.5$I_a$・・・④

④を③へ代入して、

2.5$I_a$=300

$I_a$=120[A]

$I_b$=1.5$I_a$=180[A]

したがって、求める損失は

0.06×${I_a}^2$+0.06×${I_b}^2$+0.06×${(I_b-I_a)}^2$

=0.06×(120²+180²+60²)

=0.06×50400

=3024[W]

=3.024[kW]

よって、(3)3.02が正解

(b):中性線の点Fで断線した場合、中性線には電流が流れないので、下図の様な220Vの1ループの閉回路を構成する。

この回路では0.06Ωの線路抵抗2つと負荷A、負荷Bの直列回路であるので、全抵抗に対する負荷Aの抵抗の比率を求めれば、負荷Aにかかる電圧が分かる。そこで、まずは未知の負荷Aの抵抗$R_A$と負荷Bの抵抗$R_B$の値を求める。

設問(a)で求めた通り、上半分の閉回路において、

0.06×$I_a$+$R_A$×$I_a$+0.06×($I_a$-$I_b$)=110

0.06×120+120$R_A$+0.06×(-60)=110

120$R_A$=106.4

$R_A$=0.8867[Ω]

設問(a)で求めた通り、下半分の閉回路において、

0.06×($I_b$-$I_a$)+$R_B$×$I_b$+0.06×$I_b$=110

0.06×60+180$R_B$+0.06×180=110

180$R_B$=95.6

$R_B$=0.5311[Ω]

したがって、負荷Aにかかる電圧は、

$\frac{R_A}{0.06+R_A+R_B+0.06}$×220

=$\frac{0.8867}{0.06+0.8867+0.5311+0.06}$×220

=$\frac{0.8867}{1.5378}$×220

=126.85≒127[V]

よって(4)127が正解

問題を選ぶ