変圧器の全日効率と日負荷率計算(過去問にチャレンジ)解答

正解:(a)-(3)、(b)-(2)

解説

(a):変圧器の全日効率①より、全日効率=$\frac{1日中の負荷電力量}{1日中の負荷電力量+1日中の損失電力量}$である。

よって、1日の負荷電力量と1日の損失電力量を求めることで、答えに辿り着く。

①1日の負荷電力量

電力量①より、電力量は消費電力Wと時間の積で表せる。定格容量V・Aは皮相電力という単位であり、これに直接時間を掛けても電力量ではないので、注意したい。皮相電力V・Aと力率だけ与えられた場合には、その積をとることで、消費電力(有効電力)を求め、それと時間の積により電力量を求めるが、今回の問題文では既にkWの形で与えられているので、そのまま利用する。

1日の負荷電力量=24[kW]×4[h]+15×8+10×6=276[kW・h]

②1日の損失電力量

変圧器の効率①より、変圧器の損失には、負荷電流に依存しない鉄損と、負荷電流の2乗に比例する銅損とで構成される。

全負荷銅損とは、変圧器が定格で運転された場合に流れる電流により生じる銅損のことであり、定格以下で運転する場合は、その分、流れる電流も小さくなるため、銅損(実体はジュール熱)も小さくなる(電流の2乗に比例)。負荷電圧は一定なので、負荷容量は負荷電流に依存しており、定格容量に対する負荷容量の比が、流れる電流の比となる。

力率①にある通り、力率は電流と電圧の位相差であり、皮相電力V・Aに力率を掛けた値が消費電力(有効電力)Wになり、逆に消費電力(有効電力)÷力率=皮相電力となるので、

24[kW]、力率80[%]の時の皮相電力=24÷0.8=30[kV・A]
→定格通りなので、全負荷銅損と同じ550[W]

15[kW]、力率90[%]の時の皮相電力=15÷0.9=16.67[kV・A]
→定格に対して,16.67/30の電流が流れるので、銅損=550×(16.67/30)²=169.8[W]

10[kW]、力率100[%]の時の皮相電力=10÷1=10[kV・A]
→定格に対して,10/30の電流が流れるので、銅損=550×(10/30)²=61.1[W]

したがって、1日の銅損電力量=550[W]×4[h]+169.8×8+61.1×6=3.925[kW]

鉄損は電流に依存しないので、1日の鉄損電力量=90[W]×24[h]=2.16[kW]
(※鉄損は電流に依存しない、つまり、電流が0の無負荷でも鉄損は発生することに注意する)

①、②より、すべての1日の負荷電力量と損失電力量が求まったので、

全日効率=$\frac{1日中の負荷電力量}{1日中の負荷電力量+1日中の損失電力量}$=$\frac{276}{276+3.925+2.16}$≒0.978→97.8[%]

(b):負荷率①より、負荷率=$\frac{ある期間中の平均需要電力}{ある期間中の最大需要電力}$であるので、日負荷率は、1日における平均需要電力と1日における最大需要電力の比で求めることができる。

問題文より1日における最大需要電力は24[kW]

また、1日の平均需要電力=$\frac{24[kW]×4[h]+15×8+10×6+0×6}{24}$=11.5[kW]
(※無負荷の6時間も忘れない。負荷があった時の平均ではなく、1日の平均であるので、無負荷時も含めて、24時間で割る。)

したがって、日負荷率=$\frac{11.5}{24}$≒0.48→48[%]

問題を選ぶ