ポンプ用電動機の出力・入力①解答

正解:(4)

解説:1秒間にQ[m³]の水を全揚程H[m]までくみ上げるのに必要な理論出力P[kW]は、水の密度を1.0×10³[kg/m³]、重力加速度gを9.8[m/s²]とすると、

位置エネルギー①の通り、位置エネルギーはmgh[J]であり、単位時間(1秒間)あたりの仕事量[J/s]が[W]のことであるので、m=Q×1.0×10³[kg/s]、g=9.8[m/s²]、h=H[m]を式に当てはめて、

P=9.8×10³QH[J/s]=9.8×10³QH[W]=9.8QH[kW]

と表現でき、ポンプ効率を$η_p$とし、余裕を見込む係数をkとすると、電動機の必要出力$P_{out}$は

$P_{out}$=$\frac{9.8kQH}{η_p}$[kW]

である。また、電動機自体にも損失があり、電動機効率を$η_m$とすると、電動機の必要入力$P_{in}$は

$P_{in}$=$\frac{9.8kQH}{η_pη_m}$[kW]

である。

出力も入力も共通であるが、“効率”という言葉は最大が100%=1であり、後はそれ以下例えば90%=0.9などである。効率が下がると必要な出力や入力を大きくする(つまり反比例の関係)必要があるので、効率ηは分子ではなく、分母に据える。一方で“余裕係数”は1.1や1.2など、1より大きい数字になるので、分子に据える。

このように電動機の出力や入力では、理想状態の理論式に対して、効率(損失)や余裕率を見込んで大きく設計する。一方で、電力の分野での需要率などは設備容量に対して同時使用率を考慮して小さく設計するという項目もあるので、目的を理解して、分子と分母のどちらに必要な定数なのかを判断することを身につけて欲しい。

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