解説
(a):まず、線路における損失は、線路抵抗によるジュール熱RI²であり、配電線路及び中性線の抵抗値はそれぞれ0.06[Ω]と与えられているので、残りは、各配電線路及び中性線に流れる電流値を求めればよい。
上図の様に、上半分の閉回路を$I_a$が時計回りに、下半分の閉回路を$I_b$が時計回りに流れるとすると、中性線には$I_b-I_a$の電流が時計回りに流れる。
次に変圧器について考える。変圧器では1次側の電圧と電流をそれぞれV₁,I₁とし、2次側の電圧と電流をそれぞれV₂,I₂とすると、
V₁:V₂=I₂:I₁
の関係が成り立ち、式変形すると、
V₁・I₁=V₂・I₂
である。これは、電圧と電流の積は1次側と2次側で変わらないことを意味する。
1次側では与条件でV=6,600[V]、I=5[A]が与えられているので、
V・I=6600×5=33,000・・・①
2次側では先ほどの図の通り、上半分は$I_a$、下半分は$I_b$の電流が流れており、電圧はそれぞれ110Vであるので、
V・I=110$I_a$+110$I_b$・・・②
①=②であるので、
110($I_a$+$I_b$)=33,000
$I_a$+$I_b$=300・・・③
また、もう一つの与条件で$I_a$:$I_b$=2:3があったので、
2$I_b$=3$I_a$
$I_b$=1.5$I_a$・・・④
④を③へ代入して、
2.5$I_a$=300
$I_a$=120[A]
$I_b$=1.5$I_a$=180[A]
したがって、求める損失は
0.06×${I_a}^2$+0.06×${I_b}^2$+0.06×${(I_b-I_a)}^2$
=0.06×(120²+180²+60²)
=0.06×50400
=3024[W]
=3.024[kW]
よって、(3)3.02が正解
(b):中性線の点Fで断線した場合、中性線には電流が流れないので、下図の様な220Vの1ループの閉回路を構成する。
この回路では0.06Ωの線路抵抗2つと負荷A、負荷Bの直列回路であるので、全抵抗に対する負荷Aの抵抗の比率を求めれば、負荷Aにかかる電圧が分かる。そこで、まずは未知の負荷Aの抵抗$R_A$と負荷Bの抵抗$R_B$の値を求める。
設問(a)で求めた通り、上半分の閉回路において、
0.06×$I_a$+$R_A$×$I_a$+0.06×($I_a$-$I_b$)=110
0.06×120+120$R_A$+0.06×(-60)=110
120$R_A$=106.4
$R_A$=0.8867[Ω]
設問(a)で求めた通り、下半分の閉回路において、
0.06×($I_b$-$I_a$)+$R_B$×$I_b$+0.06×$I_b$=110
0.06×60+180$R_B$+0.06×180=110
180$R_B$=95.6
$R_B$=0.5311[Ω]
したがって、負荷Aにかかる電圧は、
$\frac{R_A}{0.06+R_A+R_B+0.06}$×220
=$\frac{0.8867}{0.06+0.8867+0.5311+0.06}$×220
=$\frac{0.8867}{1.5378}$×220
=126.85≒127[V]
よって(4)127が正解